KAMDAX社製 MIG−15 フライトインプレッション 香港のKAMDAX社から発売されたこのMIG−15は小型ながら07エンジンによるダクテッド ファン(以下DFと略)を搭載するスケール機としてリリースされた。 特徴としてまず1番目に挙げられるのは、この小型エンジンはシリンダとピストンがセラミックで作 られている点である。わずかなブロンズ色をしたこのシリンダは見ているだけでも美しいが、シリン ダにセラミックを使用しているエンジンは初めてのような気がする。「発熱・断熱性に優れる」との うたい文句だが耐久性はどうなんだろうか? きれいなケースの梱包箱内には発泡スチロール製の胴体や主翼が整然と収められており、慣れた方な ら2時間ほどで完成させることが出来るであろう。 まず主要部品であるDF部分から製作を始めるが、パーツの精度が非常に高いためプラモデル製作の 感覚で進めることが出来る。エンジンマウントのビス位置決めはガイドとなるプラパーツが付属して いるのでタンクのマウント穴とともに簡単に開けることができた。 ファンは5枚ブレードを持つ80mm径のものが取り付けられ、センターは付属する電動スターター のカップリングが噛み合う構造になっている。 エンコンサーボはキットに1個だけ付属しているサーボを使用してみた。これでDF部分は完成だが ダクト後半部分の整流カバーは若干のガタがあったので、周囲に薄くバスコークを塗ってガタが出な いように処理しておいた。 発泡スチロールの接着には間違ってもシンナーや有機溶剤が入ったものは使用できないので、30分 エポキシと発泡スチロール専用接着剤を用意した。このほか瞬間接着剤も厳禁である。 胴体製作に入る前に各サーボはすべて搭載させておいたが、この理由はサーボのリード線が後からは 引き回せないからである。上下に2分割している胴体を接着するときに同時に主翼を接着させなけれ ばならないので、組みあがる状態を仮組みでよく確認した後で接着作業に入るようにしなければなら ない。編集部ではスチロール表面に塗装してある塗料が剥がれるのではないか?と心配だったので、 接合部分の塗料をサンドペーパーで剥がしてから接着を行った。 それと何箇所かスチロールをカットしなければならない部分があったので、切り口にはすべてタミヤ のポリカ用シルバーを塗布しておいた。ポリカ用塗料はグロー燃料に強く乾きも早いので補修やタッ チアップなどにもお勧めである。 水平尾翼と垂直尾翼はそれ自体がスイングするいわばフルフライングテールとなっており、実に面白 い構造をしている。ともに翼系を持った尾翼構成はスケール感が存分に引き上げられている。 MIG−15はこうして所要時間4時間ほどで完成した。完成重量は460gであり、かなり軽量で 仕上がっているのでその飛びが期待できる。 フライト編 付属する専用スタンドは運搬するときにも苦労しなくて済むし、実に親切な配慮であると思う。また 、キレイなスケール機なので飾っておくときにもこのスタンドは非常に便利である。 専用の燃料ポンプはタンクに入れる50CCが簡単に計量できる注射器タイプが付属していて、使用 する燃料はニトロ30%〜40%のものに指定されている。 燃料を注入していよいよエンジンをスタートさせるが、セラミックエンジンは簡単に始動させること ができた。ニードルを甘めにして1タンクほど慣らし運転をするが、もたつく事もなく快調に回って いる。2タンク目からは少し絞り込んで様子を見てみたが、エンコンのつきも良く後部ダクトからは 勢いよくエアーを噴射させており、かなりいけそうな雰囲気が伝わってくる。 3タンク目からはいよいよ飛行となるが、路面の状態があまり良くないので助手に手投げをしてもら うことにした。地上で充分なプッシャーは確認しているがDF機は巡航スピードに乗るまでは不安定 な特性が出るので、じっと我慢をして安全な高度まで無理な操作は出来ない。しかし、このMIG− 15はあっけないほど簡単に離陸(手投げだが)して行った。 安全な高度に達してからトリムを決める。「いやはやカッコいいではないか!」と感心しきりで飛ば している自分まで見とれてしまった。さすがにエンジンDF機。目前を通過させるとすごいスピード に乗っている。そのままループに入れるがダレることなく上空まで引っ張って行く。ロールはすごく 簡単に軸の通ったロールをしてくれる。何よりもターンをさせるときの姿勢がカッコいいので低空で 何度もターンを続けているとアッというまに5分間が経過しているではないか。 燃料切れが心配だったので直ちに着陸態勢に入るが、意外と安定してプロペラ機と同じような降下を してきた。これはやはり軽翼面荷重な機体だからだろう。それでもDF機の場合、エンジンはスロー にしないで少し前進力を残したまま着陸に入れたほうが安定するので若干パワーを入れる。するとこ のMIG−15は小型機にもかかわらず安定したノーズアップ状態で着陸させることができた。 このMIG−15はまったくの初心者には無理だが、おそらくこれまであったDF機の中では飛ばし 易さの点でもトップクラスに挙げることができると思う。 中級程度のレベルの方で、DF機を経験していない方にはお奨めの1機です。組み立て時間も短く、 難しさも特にないのであなたも1機飛ばしてみてはどうでしょうか。 |