(7)HONEY BEE COOL  フライトインプレッション

―E−SKY社人気モデルKINGの兄貴分?― E−SKYから同社電動最大サイズ「Honey Bee COOL」がこの1月に発売となった。 Honey Beeシリーズの長兄となるこのCOOLは、これまで踏襲してきた370クラスから ワンランク大きなモーターの400クラスが搭載される。しかしモーター缶サイズは380となって いてこれまでにあまり聞かないサイズだが、実質的に各社400クラスとモーターサイズは同じ。 ブラシレス全盛にあって敢えてブラシモーターを搭載したのには少々訳がある。 E−SKY社ではCP−2から3セル11.1V−1000mAHのリチウムポリマーバッテリーを標準 搭載としてきて、KINGも同じバッテリーを推奨してきた。超軽量だったCP−2はその運動性も あいまって、非常に長時間飛ばせるヘリとして今でもその人気を持続するモデル。他社がリポ搭載を ハイパワー化に振ったのに対しCP−2はリポの恩恵を時間軸に置き換え、軽量を武器として比較的 アンダーパワーの370ブラシモーターで機械的に疲労が少ない、しかもコストの抑えられたE−S KY的処理を施し、このクラスで比較するモデルがない見事なジャンルを築いたのである。 そしてKING。これも同じ370クラスであったが軽量化には細心の注意を払い、モータはCP−2 より格段にパワーアップしても、同じバッテリーでCP−2より格段の運動性を獲得させたのである。 ここまでで判るのは明らかに違う他社とのリポに対する考え方で、サイズアップしたCOOLにはさす がに1000mAH以上の容量を要求するものと思っていたら見事に裏切られた。 これまたCOOLも同じ1000mAHが指定なのである。 実質380のモーターはひょっとするとKINGのモーターよりも消費電流は少ないのであろう。 最大パワーよりトルク重視のモーター選定がされたようである。競合モデルはブラシレスモーターが 指定される昨今、コストの安い1000mAHにこだわり、いたずらに重量増を避けたのはいかにも E−SKY的である。アフターマーケットにはお寒い考えかも知れないが、財布に優しい、誰にでも 扱いやすいモデルとしたことは歓迎するべきであろう。まだまだこのクラスの競技会は少ないことや、 先鋭化したモデル造りよりも、圧迫感の少ない電動ヘリコプターは市場の理解を得られることと思う。 ―大型化はどのような方向?― およそこのCOOLのアウトラインが見えてきたところで、各部をもう少し詳しく見てみた。 メインローター駆動システムはメインドライブギヤも含めてKINGと同一、このクラスではNO.1 ともいえる精度のエンジニアリングプラスチックを採用、5mm径ジュラルミンのメインマストも同一、 メインローターはKINGの翼弦27mm/長さ265mmからCOOLは翼弦32mm/長さ280m mの物へと大型化、メインローターグリップはローター取り付けビスが2mmから2.6mmに変更 されていた。フレームはCOOL専用となり、KINGに比べ大柄でメカ搭載スペースが充分に確保さ れている。ランディングスキッドはこれまでのカーボン棒タイプから通常のヘリタイプであるPP樹脂 製の逆U字型が採用された。テールパイプは30mm延長されカーボン製のテールストラットが追加、 テールローター廻りはギヤケースも含めKINGと同一、水平・垂直尾翼も同様であった。 その他の違いはキャビンがCOOL専用の大型なものになっているところである。 まとめると動力系の基本パーツはほぼKINGと同一、フレームを含めたシャーシ廻りがCOOL専用 設計と言うことが判る。ということはフレーム関係と外装パーツを交換することでKINGがCOOL に簡単に変身させることが出来るのである。COOLの重量は465g、KINGが350gなので、 ストックのままの性格はまったく違っていることが予想される。果たしてCOOLとはどんな「飛び」を 見せるのか?400クラスのモーターとのマッチングは?フライトさせて確かめることにした。 ―早速、フライトしてみる― 本機に積むメカは受信機がE−SKY純正6CHレシーバー、サーボはすべて同社のサブマイクロサーボ 、アンプも付属の20A−ESC、ジャイロのみフタバGY−401を使用した。 送信機はフタバFF-9を使用して、スロットルカーブ・ピッチカーブはKINGの設定をそのまま利用、 机上で見る限り、飛行させながら若干の調整でOKのようである。 新型となったE−SKY純正3セル1000mAHリポバッテリー(バランス充電端子が新採用)をフル 充電して飛行場へ向った。 今回の飛行テストは以前日本選手権で活躍した室 由之氏にお願いし、その特性を探ってもらう。 彼はKINGのフルチューンバージョンを飛ばし込んでいるので比較するには格好な存在。 浮上させてすぐに気が付いたのはホバリング時のピタッとした静止安定性だ。トリム調整が済むとその場 で一点からまったく動かない対面を含む4点ピルエット、「すごい安定性だョ!」と言っている。 そのまま撮影のための静止を3分ほど続け、微動だにしないヘリに感心している。 目の高さでの撮影が終わって一気に開放されたように上空へ。バッテリーはまだまだ余裕を残している。 機体の大きさがアップしたことで視認性が上がり安心して飛ばせるとのこと。特に旋回時のテール制御が 楽になったと言っている。ちょうど30クラスのヘリを飛ばしているのと同じ感覚。ローター面積がアッ プし、テールブームが30mm延長された恩恵か、KINGとはひと味違ったヘリに仕上がっている。 軽いスタントをするが、380モーターも申し分ないパワーを発揮している。 セッティングを煮詰めていけばもう少し過激なスタントも可能だろうが、3Dアクロをされる方はブラシ レスモーターに換装すればピッチ追従の良いヘリに変身できるであろう。しかしあくまでも初心者から中 級者までに優しいヘリに仕上がっているのでノーマルでの限界は当然あるものの、このままでも充分な運 動性と安定性をこのCOOLは両立させていた。 COOLとKINGを比較してみて結論を言えば軽量を武器とした運動性の良いKING、ホバリングや 上空での安定性を重視したCOOL、そしてわずかなパーツを替えればどちらにでもなる2機種であった。