(6)HONEY BEE KING フライトインプレッション

<CP−2とKingとの比較> 8月下旬に発売が決定したE−SKY社のHoney Bee Kingがついに日本に上陸 を果たした。 このKingを製造しているE−SKY社は香港から1時間ほど広州方面に行ったところのシ ンセンという経済特区にあり、新型Honey BeeやHoney Bee CP−2を作 っているメーカーとして知られている。 すでに日本に入っているこの2機種はその飛行性能の素晴らしさに多くのファンを持ち、電動 モデルとしては特にアメリカ・ヨーロッパで絶大な人気を獲得している。 外観は現行モデルの前出CP−2と良く似ているが、メインローター直径は600mmと85 mm大きくなって、メインマストも5mmジュラルミン中空シャフトと進化しており、メイン ローター操舵システムも完全ベルヒラー化されたものになった。 分かりやすく言えばCP−2にウォッシュアウトベースが追加され、スワッシュプレートとロ ーターヘッドまでの間にコントロールリンクがもう一つ加わったことによって、より差動の無 い確実な動作を可能にしたと説明している。 しかも、メインギヤにはオートロークラッチが追加されたことにより、スロットルを戻しても モーターに慣性を食われることなく、自然な降下をするようになっている。CP−2はモータ ーがダイレクトに駆動されるのでこの特性に対する好き嫌いがあったが、Kingの場合はエ ンジンヘリの特性に一歩も二歩も近づいたといえる。 また、テールローター駆動は伝統的な小型モーターからシャフト駆動となり、メインギヤと別 体となったべベルギヤから直接駆動されるのでメインローターが回転しているときは常に回転 する常時駆動方式が採用されている。 テールパイプは軽量な8mmジュラルミン製が採用され、ブルーアルマイトのキレイなカラー がコーティングされたものとなっている。サポート等は付いていないが、強度の問題は皆無で あろう。ローターはハードバルサ積層のロングタイプとなり、CP−2に対して細身の翼弦で、 同じく対称翼を採用している。全体的なローターシステムは背面飛行に留まらず3D飛行も睨 んだ設計といえ、スワッシュプレートの大型化はローターに舵を的確に伝えられるだけの剛性 を秘めているものと思われる。事実、ローターをひねって舵の遊びを確認したが、CP−2の それよりも驚くほど遊びは少なくなっていた。 動力源であるメインモーターは370ブラシタイプと変更はないが、インナータイプからアウ タータイプへと変更されたカーボンブラシは交換も可能であろう。モーターの出力は発表され ていないが、明らかに磁性の強いモーターカンとその回転抵抗は飛行前に期待をさせてくれる ものが採用されている。 バッテリーは3セルLi−Po1000mAHとCP−2と同じものが指定されている。 CP−2より消費電力が多いモーターであればフライトタイムは自ずと少なくなるのだが、そ の辺はどうであろうか?しかし付属するESCアンプのキャパは20AとCP−2と同じであ る。この辺はフライトさせてみなければ分からない点なので後半に送る。 ここまで変更して全備重量は370gとCP−2と比較して90グラム増で仕上がっている点 は大いに評価できる。 テスト機のジャイロはヘディングロックが可能なフタバGY−240を採用、この機体には少 々大振りとなっているが信頼性が抜群なジャイロをあえて搭載した。 メインフレームは強度の高いエンジニアリングプラスティック製で、左右分割のタイプとなり、 一体成型非分解タイプのCP−2系とは大きく違っている。 較べて見て分かったCP−2とKINGの共用パーツは、僅かにキャビンとスキッドのみであ った。似ていて非なるものとはこういうことを言うのだろうか? −Kingの初フライト− いつもの飛行場には日本で初めて飛ぶKingに興味が深々のメンバーが既に集まっている。 CP−2のフライトは日常的に見ているので、その違いが気になるのであろう。 やや強風の中、待ちきれずにフライトを開始する。調整段階でエンジンヘリとの違いに気が付 いた。小型ヘリはテールが相対的に短いので、挙動を押さえるためのジャイロの設定がやや神 経質である点。アバウトな調整ではピタリと止まらないのでメインローター回転に合わせた微 細な調整を強いられる。でもさすがGY240、よく止めているものである。 ローター回転は1800回転前後と思われる(回転計を忘れた)。初期設定では上下ともにピ ッチが足りなく、FF−9のスワッシュAFR機能ですべて85%台まで上げた。 手で持ったまま上下ピッチの確認をする気にさせる電動ヘリは実に調整しやすい。アイドルア ップで最低/最大ピッチを確認(マネをして怪我しても責任は取れません)、今度は十分に引 きを感じてフライトに入った。 まずホバリング。強風の中をエンジンヘリのようにピタッと止まっている。実に気持ちいい。 上空へ持って行き、途中でアイドルアップ。ブラシモーターでこれだけ引っ張ると思わなかっ た。パワーには申し分なしである。アップを引いて背面に入れる。これも簡単である。 慣れてきたところで徐々に地上に近づける。背面安定性も問題ない。 ここまでを初フライトでやって、なんとまだ5分ぐらいである。ふくろう博士ではないが、 「ヤル気にさせる」のである。15分ぐらいは飛ばしたので、一度降ろしてバッテリーを交換 して再フライトに入る。モーターは結構熱くなっていたが心配するほどではない。 今度は3D系演技をさせて、フリップ、ロール、ループ、それらの複合をやってみたが、ほと んどの演技が問題なく出来たのには見ていた全員が驚いた。 電動ヘリがこんなにも飛ぶ時代、チョット前には考えられなかった。ディバイスの進化、小型 化、軽量化の成せる業だが、いい時代になったものだとつくづく考えさせられた。