(4)エンジンのメンテナンス百科

 1、メンテナンスとは?  2、エンジンの使われ方  3、腐食(錆び)が大敵  4、自分でメンテナンスしてみよう  5、エンジンの分解、組み立て  (1)2サイクルエンジンの分解  (2)2サイクルエンジンの組み立て  (3)4サイクルエンジンの分解と組み立て  (4)キャブレターの分解・清掃・初期設定   6、メンテナンス後のエンジンの再始動
  1、メンテナンスとは  ラジコン用エンジンには様々な使用目的があり、その使われ方にはこれまた自ずと様々な  使用条件があって、適切な使用方法や保管方法、そしてメンテナンスのやり方があります。  メンテナンスの意味は「製品を点検し必要に応じて調整や修理を施すことで製品の機能や  性能を維持すること」と自動車整備の教則本にありました。  ラジコンのエンジンにおいても何のメンテナンスも施さなければ性能や機能を維持するこ  とが出来なくなってしまうことになります。  しかし最近はご自分で分解したり整備をする方が少なくなってきているのが事実で、なぜ  調子が悪くなったかの原因を理解しなくては同じことを繰り返すし、みすみすお金だけを  浪費させる結果となってしまいます。  それには日頃からご自分のエンジンに愛情をもって接し、適切な扱い方やメンテナンスを  施すことによって息の長いお付き合いが出来るようになるし、いつも良い調子を保つこと  が可能になるのです。  ラジコン用エンジンは自動車よりももっと精度の高いエンジンなのですから、少なくとも  ご自分で使うエンジンに対してはそれなりの扱い方や知識を身に付けたいものです。  もちろんいまどきの手厚いメーカーサポートに対して異論はなく、完璧に調子を維持する  にはこれ以上のことはないのですが、メカニズムを知ることはフライト技術を向上させる  ためにも本来は必要不可欠な条件なのです。  ベテランの機体を思い出してみて下さい。いつ見ても機体がよく整備されてキレイである  ことに気が付くはずです。そうなんです。「うまい人ほどキレイ」は機体にもエンジンに  も当てはまり、飛行機・ヘリコプターも問いません。要するに常日頃の整備がよく出来て  いるかどうかが上手・下手を見分けるポイントといっても過言ではありません。  「上手になる第一歩は機体やエンジンのメンテナンスから」と思ってください。 2、エンジンの使われ方  空用ラジコンのエンジンの種類としては大きく飛行機用・ヘリ用分けられます。  飛行機用には2サイクルエンジンと4サイクルエンジンがあり、現在では4サイクルエン  ジンを使用する方がとても増えてきました。一時のブームに留まらないどころか益々盛り  上がりを見せているファンフライ機などは4サイクル中心で設計される機体が多く、F3  Aの競技会にも一部の2サイクルを除けばほとんどが4サイクルエンジンを搭載していて、  そのポテンシャルの進歩も日進月歩の感があります。  一方、ヘリ用エンジンは一時期4サイクルエンジンも多く使われていましたが、現在では  完全に2サイクルエンジンが主流となっています。これには昨今の3Dブームが大きく影  響をしているものと思われ、メインローターの高回転化に伴なうエンジンの使用回転幅の  増大がその理由になっているものと思われ、特に競技に限って言えば2サイクルの独壇場  です。4サイクルエンジンにも良い点はたくさんあり、スケールヘリコプター等にはその  発するサウンドと中・低速回転時のフラットなトルク特性は捨て難いものがあります。  しかし現在では新たに4サイクルエンジンをヘリコプターに使用する方は減ってきました。  そして同じジャンルのエンジンでも時代とともにその特性に対する要求はより高度なもの  となって来ており、エンジンの取り扱い方やメンテナンス如何ではそのライフも極端に短  いものとなってしまい兼ねません。  このほかロータリーエンジンもあるのですが今回は割愛させていただきます。  ユーザー側としては更なる高性能化はとてもウレシイことなのですが、その反面使用に際  しての制約も以前よりは増えてきています。燃料ひとつをとってみても環境保護の要請か  ら減オイル・低オイル化が進んでエンジンにとっては優しくありません。  単純にオイルが多ければ良いというわけではないのですが、ニードルセッティング時の安  全マージンが少なくなっているということがいえます。  いろいろな使われ方やその問題点を挙げればいくら誌面があっても足りなくなりますので  この辺で次に入りたいと思いますが、使用目的に合った使い方が大変重要であるというこ  とを認識していただければと思います。 3、腐食(錆び)が大敵  エンジンにとっての一番の敵は錆び(サビ)といっていいでしょう。  ですから、なぜサビが発生するのかのメカニズムをユーザーは理解する必要があります。  サビ=金属の酸化、空気中の酸素や水分が金属表面に作用して腐食おこすということは皆  さんもよく知っていると思いますが、これを少なくする、遅らせることはサビ発生の原因  を知ることによってある程度は可能になります。  ラジコン用燃料の基本成分は50%以上アルコール(メタノール)を使用しています。  ガソリンと比べ爆発の危険性が低く、レーシングの世界ではインディカーなどでも使用さ  れていることはよく知られています。  しかしこのアルコールは親水性が高く、水と馴染みやすいことが問題なのです。空気中に  は湿度といわれる水分が浮遊していてこの水分がアルコールと結びついてしまうのです。  燃料缶にも良く密閉したつもりでも長い間には少しずつの水分が浸入してきます。  特に夏の閉め切った車内などは燃料タンクは膨張し夜間は冷えて収縮しますので、その温  度差により空気が出入りしてしまうのです。  金属表面もこの温度差が災いします。冷たいビールをコップに注ぐとコップの表面がすぐ  に汗をかくのをご存知でしょう。これは空気中の水分を極端に温度差があるコップの表面  に集めてしまう熱交換現象によって起こります。  回転中のエンジンのキャブレターやインレットマニホールド表面にも特に夏季には良く起  こるのです。  通常は目に見えない空気中には実に多くの水分を含んでいることがお解かりかと思います。  このようなことから燃料や機体の保管は温度差が少なく湿度もなるべく少ないところで保  管することが望ましく、判り易く言えば人間が住む家の中と同じ条件が一番良いのです。  屋根付きのガレージ保管は一見よさそうですが、ホコリが少ないだけで実はここの温度差  もエンジンや燃料にとって良いとはいえません。 4、自分でメンテナンスしてみよう  今回のテーマは保管のことではありませんが、使用している時間よりも保管している時間  のほうがはるかに長いので本題に入る前に述べておきました。  さて、メンテナンスといえばそれを行なうための工具とケミカル用品を用意しなければな  りません。写真、1にはエンジンメンテナンスのための必要最低限の工具を示しています。  写真、2には揃えておいたほうがいいケミカル用品を代表的なものだけ示しております。  多用するウエスには私の場合、自分で使用していた古い肌着を幾つかに切って使っていま  す。しかも一度使って捨ててしまうことはなく、数回は洗ってボロボロになるまで使用し  ています。そうすることで表面の繊維クズが出なくなって理想的なウエスになるのです。  ブラシも新しいものは必要なく、家族で使い古した捨てる寸前の歯ブラシでいいのです。  また、潤滑オイルとCRC556に代表される潤滑スプレーは注意して使わなければなり  ません。特に浸透性の強いCRC556はベアリングに使用しているオイルシールやシリ  コン製のバルブ及びシールを痛めてしまうことがあるため、メーカによっては使用を禁止  しているところもありますので、エンジンの取扱説明書をよく読んでおいてください。  写真、3のカセット型トーチはベアリングを外すときに重宝しますのであらかじめホーム  センターなどで用意しておけば便利です。  また、写真、3の中のエアーダスターはコンピューターショップなどで安く手に入ります。  分解したパーツの部品洗浄には石油が適しています。家庭用の灯油はどこの家庭にでもあ  ると思いますので用意しておいたほうが便利です。灯油以外では古くなって使わなくなっ  た燃料なども部品洗浄に代用するのに良いでしょう。  分解に入る前に注意することは、再び組み上げるため順を追って部品を並べておくことを  オススメします。また、アタリの付いた金属部品どうしは同じ方向が組み合わさるように  しなければなりませんので、外すときにマークを付けておくようにします。 5、エンジンの分解、組み立て (1)2サイクルエンジンの分解     機体からエンジンを降ろす前にスピンナーやプロペラ、クラッチハウジング、クーリング  ファン等を外しておきます。ヘリコプターなどでネジロック剤を使用していてどうしても  緩まないときは、カセットトーチ(写真3)などで軽く熱を掛けてやると緩みやすくなり  ます。  今回はOS46FX(写真4)を例にとって分解してみます。  最初にシリンダヘッの6本の3mmビスを外します(写真5)。ヘッドがシリンダから外  れますがブロンズ製のヘッドガスケットを傷つけないように外しておきます(写真6)。  このピストンのヘッドには排気ポートの方向を示す矢印が付いていますが、もし何も打刻  していなければ尖ったものでマークのキズを付けておいて、再び組むときに同じ取り付け  方向になるようにします。なぜこのことが重要なのかはピストンにリングが付いているエ  ンジンの場合、リングの合わせ目がどのポートにも引っ掛からないようにしなければなら  ないからなのです。  リングなしのエンジンでもピストンはシリンダと回転運動ではなく往復運動をしているた  め、反対方向で付けてしまうとせっかく馴染んだ金属表面が合わなくなってしまう為なの  です。バラしてしまって分からなくなる前に必ず実行してください。  次にバックプレートハウジングの3mmビス4本を外して引き抜きます(写真7)。あと  で清掃するためメインニードルも外しておきましょう。次にシリンダスリーブを引き抜き  ます(写真8)。そうするとスリーブを抜いた隙間ぶんコンロッドを寄せることが出来る  ようになりますので、クランクシャフトを下死点の位置でコンロッドをクランクシャフト  ビッグエンド(大端部)から引き抜きます(写真9・10)。  この一連の流れの中で決してムリに力を入れて作業を行なってはいけません。知恵の輪の  ように力を入れなくても外れるポイントがありますのでその位置を見つけるようにしてく  ださい。  ここまで来るとクランクシャフトが軽く廻るはずですので、ベアリングが使えるかどうか  確認しておいてください。ゴロゴロしたり引っ掛かりながら廻る場合は交換することを考  えておきます。次に写真のようにプラハンマーか硬くないものでクランクシャフトを叩き  出します(写真12・13)。軽く外れない場合でもネジ山が潰れてしまいますので金ヅ  チのような金属では直接叩かないで下さい。言い忘れましたがキャブレターはどの段階で  もいいですから外しておくことを忘れないで下さい(写真11)。  さてクランクケースに残るものはフロントベアリングとリヤベアリングだけになりました。  フロントベアリングは反対側からピッタリと通る木片などを利用して簡単に外せますが、  リヤベアリングはその接触面積の多さから簡単には外れません。  この場合エンジンを分解する人のほとんどの方がカセットトーチなどのバーナーを使用し  て外しています(写真14)。アルミと鉄の熱膨張率の差を利用すればあっけなくこのリ  ヤベアリングは外れますが、余りバーナーをあて過ぎるとクランクケースが変形すること  もありますので必要最小限に留めるようにしてください。また、直接フロントベアリング  に火をあてると内部のシールが焼損して使い物にならなくなりますのでご注意ください。  あくまでも膨張して欲しいアルミのケースだけをアブるようにする事です。  エンジンの分解が終わったところ(写真15)で交換頻度の高い部品を順に挙げてみます。  一番ストレスの掛かっているパーツはピストンです。ニードルの絞り過ぎによる焼き付き  やリングの固着、引っ掻きキズの有無を調べましょう。  2番目にはコンロッドのスモールエンド(小端部)とビッグエンド(大端部)それぞれの  上下方向にガタがないか調べます。長く使用したエンジンの場合はそれまで好調に廻って  いたエンジンでもここにガタが出ていることが殆どです。ほんの僅かのようですが、上下  方向にガタが出るのですからストロークが短くなったと同じ現象になります。具体的には  圧縮が少なくなり、パワーは無いのですがモーターのように高回転まで廻るようになりま  す。これは非常に危険な状態で上下運動のたび、金属どうしがクラッシュしているのです。  この状態からはコンロッドが折れてクランクケースから足を出すまでに時間は掛かりませ  ん。「さっきまですごく調子よく廻っていたのに・・・」で壊す人は結構多いのです。  参考までに私はここまで分解したときピストンピン、コンロッド、F&Rクランクベアリ  ングは必ず交換するようにしています。 (2)2サイクルエンジンの組み立て     組み立ての前に汚れているパーツの洗浄を終わらせておきます(写真16)。また、組み  上げるときはオイルとグリースを多用しますので手元に準備しておきます。  分解したときと逆の順序で最初にクランクのベアリングを挿入します。少しでも斜めに入  ったときは絶対にムリに押し込まないことです。もう一度入れ直してケース側にキズを入  れないように注意して作業を進めます。もう一つの注意は回転するインナー側だけを叩か  ないことです。中に入っているボールとレースは点接触なのですから、強い力で叩くと双  方にキズを入れてしまいかねません。ベアリングのアウターケースだけを出来るだけ押す  ようにピッタリした治具を見つければ一番安全です。またはクランクシャフトそのものを  挿入治具とするのも正解です。この場合はフロントベアリングを先に完全に挿入しておい  てクランクシャフトにリヤベアリングを取り付け、プロペラナットを締め付けていくので  すが、少しずつ締めてはシャフトの先端をハンマーで叩きそのショックでベアリングが少  しずつセット方向に入っていくのを確認して完全に入るまで何回かに分けて締めるー叩く  を繰り返す方法です(写真17)。  あとは組み上げる都度、オイルを挿しながら取り付け方向を間違わないように組み上げて  行きます。金属と金属が当たるところにはすべてオイルを注入することを忘れないでくだ  さい。私の場合、組み上げる時も飛ばした後も防錆効果の高いIM製ストックオイルを使  用しています(写真18)。 シリンダヘッドのビスの締め付け方ですが、どんなエンジンでもすべてのビスが全部取り  付けられるまでは仮締め程度にしておきます。すべてのビスをいきなり締め込まないで軽  くあたるところまで締めてから対角線に少しずつ全体を締め込んで行きます。  少しずつを何回もに分けてどのビスにも均等のトルクで締め付けるようにしないと、ガス  ケットから圧縮漏れを起こす原因となってしまいます。最終的にも力一杯に締め付けすぎ  ないようにご注意ください。  また、バックプレートハウジングに至ってはパッキンが入っていますので最終的にも締め  過ぎは厳禁です。ビスが取り付く部分だけが締めすぎによってムリに潰れて変形を起こす  ことになってしまい、結果的にほかの部分の隙間から一時圧縮が漏れてしまうことになり  ます。 (3)4サイクルエンジンの分解と組み立て     4サイクルエンジンも基本的には2サイクルエンジンと分解の方法は大きく変わりません。  従って大きく違う部分だけを説明することにします(写真26・27)。  4サイクルは文字通り4つのプロセスを経ることによって一つの行程が完了します。  クランクシャフトが2回転で1行程ですから1回転目の行程は吸入ー圧縮、2回転目が爆  発ー排気と1回転毎に交互にこれを繰り返しているのです。  これを司っているのがカムシャフトです。このタイミング(写真29)が少しでも狂って  しまうとまともに回転しなくなるばかりか、最悪はバルブを突き上げエンジンを壊してし  まうことになります。  分解するときはギヤとギヤに合いマークがある場合でもピストンがどの位置に来たときそ  れぞれのバルブがリフトするかを良く確認しておきましょう。それぞれの回転の上死点位  置で確認すれば良いでしょう。  また、バルブを分解したときはロッカーアームとバルブ間のクリアランス調整には必ずエ  ンジンに付属しているシックネスゲージを使用して決められたクリアランスになるように  調整しなければなりません(写真28)。このクリアランスは100分の4〜5mmのほ  んの僅かな間隙を保つようにしなければならず、多すぎても少なすぎてもエンジンにはよ  くありません。調整をするときには冷間時に行い、エンジンの熱いときには行なわないよ  うにしないとクリアランスが指定どおりになりません。  また、プッシュロッドや各アームも同じところに取り付くよう注意が必要です。  パーツ点数が2サイクルに比べ格段に多くなりますのでキチンとパーツを並べながら分解  ・組み立てをすることで間違いを防ぐことが出来るでしょう。    (4)キャブレターの分解・清掃・初期設定     キャブレター(写真19)の外側が汚れていても性能には大きく影響することはありませ  んが、燃料の流量を調整・制限する性格上、狭い通路(写真23・33)にはゴミや糸ク  ズ状の異物がたまり易く、これに対しての自浄能力は持っていないのがキャブレターです。  ですから定期的に清掃することがどうしても必要なパーツとも言えます。  しかし、調子が悪くない限りあまりいじりたくないのも人情で、せっかく完璧に調整した  のに分解したことで最初からやり直さなくてはならないのではどうしても億劫になりがち  です。でも、この機会ですからキャブレターの分解(写真22・35)を経験して、各パ  ーツの役割や基本調整の仕方を学んでおいてください。  スロー絞り調整ネジは2サイクルのLAエンジンや4サイクルのFL−70のように単純  なエアー調整ネジになっているエンジンもありますが、例題のOS46FXのように対向  ニードルタイプタイプの場合、スロー時に直接スプレーバーのオリフィス穴に調整ネジが  入り込んで、燃料の流量を制限するように作られております。  分解する前にこの位置を知る(写真20・31)には、キャブレターロータードラムを全  閉に固定してから、スロー調整ネジを一杯まで締まる回転数を覚えておくようにします (写真21)。  その後、外れるまで緩めて分解すればよいのです。ロータードラムを外すには写真のよう  にローターガイドスクリューを外せば取り外すことが出来ます(写真21・32)が、内  部にスプリングが入っている場合はその向きを確認してから取り外してください。  分解したパーツが汚れている場合は洗浄油などで洗ってからコンプレッサやエアダスター  などで内部の異物やゴミを吹き飛ばしてください(写真25・34)。  組み立てるときはエンジンに使用したような粘度の高いオイルは避けて、マシン油やスピ  ンドル油のような粘度の低いオイルを使用するに留めてください。  OS46FXのようにメインニードルが別体の場合もニードルを外し、同様にエアーダス  ターで内部を吹き飛ばしてください。ここまでの説明にOリングの説明が抜けてますが、  各パーツに付いているOリングに劣化やキズが付いている場合は交換しておきましょう。  Oリングを挿入する場合は必ず前述のオイルを塗布してください。 6、メンテナンス後のエンジンの再始動     さあ、これでエンジンが組み上がった訳ですが、再度機体に搭載してはやる気持ちを抑え  て慣らし運転をしてみることにしましょう。  エンジン内部には不要なオイルがたくさん入っていますし、交換したパーツによっては新  品に近い慣らし運転をしなければならない場合もあります。  特にピストンやシリンダスリーブをアッセンブリーで交換している場合などがそうです。  いずれの場合もエンジン内部を洗い流すつもりでエンジンの回転が止まらない程度までニ  ードルを開け気味にして、濃い目の運転をしてください。  飛行に入っても分解した直前のニードルより濃い目のセッティングで数タンクは飛行させ  るようにして、異音がしたりパワーが出ない場合は即座に飛行を中止してエンジンを点検  してください。  大事なことは再組み立て後に加熱と冷却を幾度か繰り返すことによる金属どうしの落ち着  きというか一体感を作り出すことにあります。いきなり最大限の熱を加えることはまだ馴  染んでいない金属どうしの不協和音を招く結果に結びつくのですから、あせらないで再慣  らし運転をするようにしたいものです。  不思議なもので機械とはいえ、使う人の使い方によってそのエンジンは性格さえも違って  来るのですから面白いものです。  愛情を持って接すればそれに答えてくれるし、ほったらかしにすると仲の悪い夫婦のよう  に冷めた関係にもなってしまうのです。言うことを聞いてくれないエンジンはそのエンジ  ンの持ち主に最大の責任があるのですから、やっぱりエンジンとはいえ三くだり半を突き  つけられるのは勘弁して欲しいものですネ。  保管に関しても別居はよくありません。なるべく自分のそばに置いてあげてください。  「オマエはガレージにでも寝ていろ」といわれてヘソを曲げないはずはありませんが過保  護もよくありません。燃料君にはなるべく冷暗所を探してナチスの迫害を受けたアンネ・  フランクのように陽のあたらない場所を提供してあげてください。さもなければ「扱いの  ひどい人」と日記に書かれてしまいます。    エンジンのメンテナンスをお伝えするのにここまでの内容で全てを網羅することはできま  せんが、読者の皆さんに少しでも参考にしていただければ幸いです。  最近の環境保護問題でエンジン機を飛ばす方には少々肩身が狭い時代となりましたが禁煙  運動のようにエンジン機を愛好する人が追いやられないためにも皆さんが一緒になってモ  ラルを高めていかなくては、いずれそんな時が来るような気がします。  エンジンの正しい扱い方を知って、どうか皆さんと楽しくラジコンが続けられるようにし  ていきたいと思います。                      そら工房ドットコム   廣瀬清一